一般ユーザにも開放された「LINE@」の潜在力

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LINEの国内利用者数は5800万人を突破するなど、国内で利用者が最も多いモバイルアプリとしての地位を確立している。LINEには、主に大手企業や俳優・アーチストなどの有名人が開設する公式アカウントがある。たとえば、ローソンの公式アカウントの友達数は、すでに1300万人を超えている。友達になれば無料でスタンプがダウンロードできるキャンペーンを開催すれば、公式アカウントで100万人単位の友達を集めるのは難しくない。ただし、公式アカウントを開設・維持するにはコストがかかる。現在は非公開になっているものの、公式アカウントを運営するには最低月額400万円が必要になる。その公式アカウントの廉価版として登場したのがLINE@である。

 LINE@は、2012年12月に開始された店舗ビジネス向けの有料サービスである。機能は公式アカウントに比べて制限されているものの、月額5250円(当時)で利用できるとあって、サービス開始直後は大きな話題となった。その後、2014年5月には無料プランが追加され、2015月2月時点で約14万アカウントが開設されている。

 LINE@は、一言でいえばLINEの中に商用利用できるマイページを開設できるサービスであるが、最大のメリットはLINE@に友達申請してくれた人にメッセージを配信できることだ。LINE@の友達は、タップするだけで登録される。いわば、Facebookページの「いいね!」のようなものだが、友達には通常のLINEと同じようなメッセージをプッシュ配信できるようになる。プライベートな友達からのメッセージと同じ形式で届くので、LINE@からのメッセージの開封率は非常に高く、ある資料によると開封率は60%に達するとされている。メールの場合、利用するメール配信システムによって到達率に大きな差があり単純には比較できないが、一般的には開封率は10%から20%程度である。LINE@のメッセージは、従来のメールマガジン配信に代わるハウスリストへの情報発信プラットフォームとして注目されている。

 LINE@アカウントは、これまでは店舗などの施設を有する企業だけが開設を認められたが、2015年2月12日から店舗を持たない法人や個人にも開放された。有料と無料の2つのプランがあり、無料プランでは配信できるメッセージの総数は月1000通に制限される。月1000通を超えるメッセージを配信したい場合、月5万通まで配信できる月額5400円の有料プランに移行する必要がある。メッセージが5万通を超えると、1通1.08円の従量課金となる。

 LINE@は、来店客に店頭で登録してもらうなど既存客を友達として囲い込み、メッセージ配信で再来店を促すツールとして活用されてきた。現時点では、LINE利用者に向けて広告を打つことができないため、LINE@をまったくの新規見込み客獲得の目的では使えない。しかし、将来的にはLINE@の友達を集めるためのプロモーションなどの有料サービスが登場するのではないかと予想する。LINE@の友達を効率よく増やせるなら、無料プランから有料プランに移行する企業が増えると見込まれるからである。LINEがそのようなサービスを計画しているかどうかは不明だが、もしLINE利用者5800万人に低コストでリーチできるとしたら、非常に魅力的な集客手段になることは間違いない。