メールマガジン読者の質を高めるには

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メールマガジンは、顧客や見込み客に対して定期的に情報を配信する手段として、すでに多くの企業に活用されている。特に、消費者を対象としたECサイトで導入率が高い。日本最大級のオンラインモール「楽天市場」では、登録者にメールマガジンを配信できるシステムが標準装備されていることもあり、楽天市場に出店するショップでメールマガジンを発行していないところを見つけるのが難しいくらいだ。法人を対象としたB2B企業においても、2011年にディレクタスが実施した調査結果によると、55%の企業がすでにメールマガジンを配信しているという。

 メールマガジンは比較的簡単に実践できる施策であるが、時間の経過と共に開封率やクリック率などの反応が落ちるのが一般的だ。反応が低下する理由は様々な要因が考えられるが、主な要因としては、配信されるコンテンツがマンネリ化することと、読者のレベルが多様化することであろう。通常、メールマガジンの読者は、見込み客、購入客、リピート客、優良客というステップで関係性が強くなっていく。創刊当初は見込み客(未購入客)がほとんどだったとしても、徐々に購入客やリピート客の割合も上昇していく。しかし、いつまでも未購入客を想定したコンテンツしか配信されないと、購入客から飽きられてしまうのは当然だ。

 メールマガジンの役割を明確に分担するという観点からは、顧客をいくつかのステージで分類して、それぞれ内容の異なる情報を配信するのが理想的だ。しかし、何種類ものメールマガジンを並行して発行するというのは現実的には難しい。代わる手としては、データベースの項目に応じてメール文面に異なる文字列を挿入できる機能を持ったメール配信ASPを活用して、メールマガジンのコンテンツの一部を受取人のステージに応じて差し替えるという方法が考えられる。別の表現をするなら、パーソナライズド・メールマガジンである。

 購入客へのサポートが主目的で発行されるメールマガジンもあるが、メールマガジンに最も期待される役割は、見込み客の育成、すなわち未購入客を初回注文につなげることだろう。まだ関係性が十分に構築できていないので、メールマガジンは購読解除されないまでも、ゴミ箱直行で読まれなくなってしまうことも少なくない。こういった「不読会員」は効果測定の障害にもなるし、メールサーバの負担にはなるし、無理に抱えていてもいいことは一つもない。そこで、メールマガジンを読まなくなった人をできるだけふるい落とそうとする動きも出ている。

 メールマガジンのリニューアルと称して、現在のメールマガジンを廃刊にして、希望者だけ新しいメールマガジンに再登録してもらったり、現行のメールマガジンを残しつつも、グレードの高い情報を受け取れる上位のメールマガジンを創刊して、そちらへの登録を促したりすることで、アクティブな読者を絞り込む事例が増えている。メールマガジンの読者数は大きく減少することになるが、自主的に再登録した「濃い」見込み客だけが残る。再登録というアクションを取ってもらった直後に、サプライズを伴うオファーをすれば高い反応率が得られるというわけだ。