ファンとコミュニケーションできる体制ができているか

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今年に入って、Facebookを利用したマーケティングは思ったほど効果がないのではないか、というネガティブな見方をする向きも出てきた。大手スポンサーの中には、Facebook広告の出稿を見直すなどの動きもあるという。広告を打てば「いいね!」は集まるが、なかなか新規顧客獲得にはつながらない、という主張だ。

こうした声に反論すべく、Facebookは先日、ソーシャルマーケティングの効果に関するホワイトペーパーを公開した。ホワイトペーパーでは、コーヒーチェーンStarbucksの事例を取り上げて、Starbucksの広告を見たファンやその友達がStarbucksの店舗でより多くの金額を使っているという調査結果を紹介している。要するに、Facebookでのマーケティングにおいて効果が出ないのは、本当の「いいね!」パワーをほとんど活用できていないためと指摘しているわけだ。

ホワイトペーパーで紹介されているStarbucksやTargetなどは、すでにブランドが確立された企業である。よってすべての企業に同様な効果が期待できるわけではないが、Facebookが反論したい趣旨は理解できる。利用する企業側が、ソーシャルメディアの特性やメリットを十分に理解できていないことが、効果が上がらない原因なのである。

Facebookの統計や分析に定評のあるSocialbakersによると、企業が運営するFacebookページにおいて、ファンからの質問の約7割が何の回答もなく無視されているという。それどころが、グローバル企業でさえ4社に1社は、ファンからの投稿や質問を受け付けていないこともわかった。これでは、せっかく「いいね!」を押してくれた人を、本当の意味のファンに育てようという気がないのではないかと思われても仕方ない。

企業が公式ページを持つあらゆるメディアにおいて、ファンからの質問や要望にすべて対応するのは大変だということはわかる。しかしながら、Facebookページを開設してキャンペーンなどで積極的に「いいね!」を集めておいて、ファンとコミュニケーションできる体制ができていないというのはいかがなものか。

Facebookページは、Facebookアプリとの連携で数回のクリックでメールマガジン購読のパーミッションをもらったり、会員登録手続きを完了したりできるというメリットがある。ソーシャルメディアを、自社サイトやマーケティングサイトへの誘導、あるいはリスト収集の手段と割り切るのも悪くはない。だが、それだけではもったいないように思う。企業がソーシャルメディアのメリットを十分に享受するには、まだ試行錯誤が必要かもしれない。