コンテンツマーケティングの本質

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2014年に注目が集まりそうなキーワードとしては、「コンテンツマーケティング」があげられる。宣伝会議2014年2月号の「企業のデジタルマーケティングに関する実態調査」によると、広告主企業の担当者を対象に2014年に注目する手法や施策を聞いたところ、「コンテンツマーケティング」は2位にランクインした。首位になった「オウンドメディアマーケティング」と並んで、企業の担当者には非常に高い関心を持たれていることがわかった。
アメリカの業界団体Content Marketing Institute(CMI)によると、英語の「Content Marketing」という言葉が登場したのは2001年頃。CMIは、コンテンツマーケティングを、「明確に定義・認知されているターゲットオーディエンスに対し、適切かつ有益なコンテンツを作成・提供することで、自社の売上につながる行動を促すマーケティングの手法」と定義している。
正直なところ、他のマーケティング手法と具体的にどこが異なるのか、なかなかイメージしにくいかもしれない。インターネットで見込み客を集客して、関係性を深めて販売につなげるには、Webサイトやメールなどを介して情報を提供していく必要があるが、それらの情報もコンテンツの一種と考えれば、「コンテンツを提供しないマーケティング」など考えられないからである。

コンテンツマーケティングと近い意味で使われている言葉としては、「インバウンドマーケティング」がある。インバウンドマーケティングは、広告出稿などに頼るのではなく、Webサイトや記事などを消費者に「見つけてもらう(Get found)」ことを目的としたマーケティング手法と説明される。「見つけてもらう」という表現からは、検索上位に表示されるSEOに近いイメージを持つかもしれないが、Webサイトへの誘導やさらに先の問い合わせや注文までを獲得するには、競合他社のコンテンツとの比較によって「選んでもらう」ことが必要になる。結局はインバウンドマーケティングで成功するにはコンテンツの質が重要であり、本質はコンテンツマーケティングとほぼ同じということになる。

最近では、インバウンドマーケティングの定義も、見つけてもらって見込客化・顧客化するだけでなく、顧客に対して常に適正な情報提供をすることで「推奨者」になってもらう手法であると範囲が拡張されてきている。CMIが公開しているコンテンツマーケティングを説明するインフォグラフィックでも、ほぼ同じ説明がされていて、両者の定義の違いを論ずるのはあまり意味がないように思われる。重要な点は、マーケティングにおいてコンテンツが重要なのは間違いないことであるが、そのコンテンツの質を評価するのは、情報発信者側ではなく、情報を受け手である顧客側であるということだ。顧客が何を求めているかを知る努力を怠ったまま、新規顧客を大量に獲得できる魔法のようなマーケティング手法は存在しない。