まとめサイトの影響力

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近年、インターネット業界で「キュレーション」という言葉を目にする機会が増えた。キュレーションとは、博物館や美術館などで作品や資料を収集、整理してわかりやすく展示を行うことを指す。
ソーシャルメディアが普及し始めた頃から、インターネット上に存在する膨大な情報を特定のテーマで整理したページを作る人が増えているが、これらの「まとめサイト」がキュレーションサイトと表現されている。個人が簡単にキュレーションサイトを開設できるサービスとして利用者が急増しているのが「NAVERまとめ」だ。
NAVERまとめは、NHN Japan(現LINE)が2009年7月に開始したサービス。トップページのタイトルには、「情報をデザインする。キュレーションプラットフォーム」と記載されている。LINEが公表している媒体資料によると、NAVERまとめの月間ユニークユーザー数は、2013年1月は4100万ユーザーだったが、6ヶ月後の2013年7月には5500万ユーザーに急増している。ちなみに、この数字はLINE独自の調査によるもので、PCのみならずスマートフォンやタブレットなどすべてのデバイスが含まれている。

ニールセンが公表しているデータによると、2012年12月に家庭および職場のPCからNAVERまとめにアクセスした人は1335万人に達した。PCでインターネットを利用する人の22%に相当する。この数字は、同月にPCからTwitterにアクセスした1278万人を上回っている。もっとも、ニールセンの統計にはモバイル端末からのアクセスは含まれていないので、スマートフォンからの利用の比率が高いTwitterの数字と単純比較はできないかもしれない。

ニールセンのレポートを読むと、NAVERまとめの利用者が急増している背景が垣間見える。訪問する一つ前のサイトを記録するリファラーを集計すると、「yahoo.co.jp」が46%、「google.co.jp」が28%と上位2ドメインで全体の7割以上を占める。「yahoo.co.jp」の内訳はYahoo!検索の「search.yahoo.co.jp」が99%なので、要するにサーチエンジン経由のアクセスが全体の7割以上を占めている形になる。サーチエンジンで情報を探す人が検索結果ページからNAVERまとめのページを見つけて、その中に紹介されている個々のサイトにアクセスしているという流れが見える。

なぜ、NAVERまとめを訪問する人はGoogleよりもYahoo!経由が多いのか?その理由は簡単だ。ヤフーはNAVERまとめと提携していて、ビッグキーワードで検索すると、上位にNAVERまとめのページが目立つアイコン付きで3件ほど表示される仕組みになっている。Yahoo!検索は、エンジン自体はGoogleと同じものを使っているので検索結果の順位はほぼ同じだが、Yahoo!検索で検索すると、NAVERまとめや、ヤフーが運営しているYahoo!知恵袋の質問などが検索結果ページに表示される点に違いがある。Yahoo!検索を利用する人にとって、NAVERまとめは訪問するサイトを選ぶ際に大きな影響力を持っていることが容易に想像できるだろう。普段Googleだけで検索している人には盲点になりがちだが、NAVERまとめの集客力もチェックしておきたい。