もっと注目したいTwitter広告

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Twitterは2013年11月7日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に株式上場を果たした。公募価格が26ドルだったのに対して、上場初日にいきなり73%も上昇して、2014年に入ってからもおおむね60ドル以上の高値で堅調に推移している。

一方、一足早く2012年5月にNASDAQ市場に上場したFacebookは、上場直後に株価は低迷したが、2014年に入り60ドルを超えて上場来高値を更新するなど好調だ。Twitterにしても、Facebookにしても、広告料収入を主な収益源にしているが、特にモバイル広告の収入が急増していることが株価上昇の大きな要因になっている。

 Twitterは以前から上場を目標に掲げて、広告料収入の拡大に力を入れてきた。最初の大きな一歩は、GoogleのAdWords広告のように広告主がインターネット経由で簡単に出稿できるセルフサービスの広告プラットフォームのテスト運用を2011年11月に開始したことだろう。その後、2012年3月にはアメリカの小規模企業にもセルフサービス広告が開放されて、一気に広告料収入も増加していった。残念ながら、日本ではセルフサービス広告は利用できず、Twitterへの広告はパートナーの広告代理店を通じて出稿する仕組みになっている。

 順調に広告料収入を拡大しているように見えるが、Twitterにも悩みがある。単純にツイートを多くの人に拡散させるだけなら、広告として表示するよりもフォロワー数の多いアカウントにリツイートしてもらった方が読んだ人への影響力は強いと考えることもできる。実際、フォロワー数の多いアカウント所有者には、企業から有料でリツイートしてもらえないかという依頼が来ることも珍しくない。実質はTwitter広告ではあるが、Twitterの収入にならない広告だ。Twitterとしては、リーチが大きいこと以外に魅力のある広告を開発して広告主を惹きつける必要がある。

 最近では、2013年5月に提携企業の広告が挿入された動画をツイートするプログラム「Twitter Amplify」を開始したり、2013年7月に顧客のWebサイトのクッキーIDに基づくターゲティング広告を発表したり、新しい広告の開発に積極的だ。2014年に入ってからも、ユーザーのメールアドレスやユーザーIDで広告ツイートの表示相手を絞れるターゲティング機能を発表している。

 2013年5月に開始された「Lead Generationカード」は、ワンクリックでユーザーがTwitterに登録しているメールアドレスを取得できる非常に興味深い広告だ。このカードを使うと、ツイート内にクーポンや資料請求ボタンや共有されるメールアドレスが自動的に表示され、ユーザーがメールアドレスの共有に同意してボタンを押すと、広告主にメールアドレスの情報が渡される仕組みになっている。以前からTwitterを使ったプレゼントキャンペーンを実施する企業は少なくなかったが、これまでは当選者への連絡には相互フォローをした上でDMを送信するしか方法がなかった。Lead Generationカードを使えば、応募者のメールアドレスが取得できるので、許諾をもらった利用目的に対してはメールでコンタクトすることが可能になる。日本ではセコムなどが実施した実績があるものの、一般的にはまだ十分に認知されていないようだ。利用する広告主が少ないうちに実践すると、目新しさも手伝って高い効果を得られる可能性がある。