YouTubeの動画広告は今がチャンスか?

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Cisco Systemsの予測によると、2018年にはインターネットのトラフィック全体の75%を動画が占めるという。2013年の時点で、すでに動画の比率は57%に達しており、最近ではSNSでも動画を添付した投稿や、投稿のように見える動画広告を頻繁に見かけるようになった。たとえば、Facebookは、2014年3月からニュースフィードに表示する15秒の動画広告「Premium Video Ads」をアメリカでスタートしたが、この動画広告が好評のため、5月からは日本を含む7ヶ国でも運用を開始した。
Premium Video Adsは、まずは無音で自動再生され、広告をクリックすると全画面再生に切り替わり音声が加わる仕組みだ。

 動画広告はキュレーションアプリでも採用が相次いでいる。老舗的なキュレーションアプリ「Antenna」では、Premium Video Adsに似た「ブランドカバームービー」の提供を開始した。動画広告をタップすると音が入った全画面再生に切り替わる点は同じだが、再生が終了すると自動的に記事詳細ページに遷移するようになっている。テスト導入した広告主のデータでは、動画広告のタップ率は約5.5%で、そのうち約半数が最後まで動画を再生して記事詳細ページを開いている。静止画広告のタップ率約2%と比べると、動画広告のタップ率の高さが目立つ。

 動画広告といえば、現時点で最も大きなリーチが期待できるのはYouTube広告だろう。YouTubeは、視聴者が能動的に広告を見たときにだけ広告料が発生する「TrueView」広告を2011年3月に開始した。

 TrueView広告には当初4種類の形式が公開されたが、現在では、コンテンツの前に自動的に再生される「インストリーム広告」と、視聴者の行動履歴に基づいて関連動画や検索結果の一部としてリスティングされる「インディスプレイ広告」の2種類に集約されている。インストリーム広告は、強制的に再生が開始されるが、5秒経過すると視聴者が広告をスキップできる。広告動画を最後まで再生するか、もしくは30秒間以上再生した場合のみ広告料が発生する。一方、インディスプレイ広告は、サムネイルやタイトルなどを見て、視聴者が動画を再生するためにクリックした場合のみ広告料が発生する。

 インストリーム広告は、動画広告が終了する前、あるいは30秒間再生される前にスキップされた場合は、一切広告料がかからない。スキップされた場合でも、広告主のバナー広告が画面右上に表示されたままになるので、新製品の認知度を高めたい大手企業などが、テレビCMの補完として活用するケースが多い。一方、インディスプレイ広告は、リスティングされる回数を基準としたクリック率(動画再生率)は際立って高いわけではないが、視聴者の意思で動画の再生を開始するため、動画の平均視聴時間や、概要欄からオウンドメディアへの誘導率は比較的高いと言われている。現在は、インストリーム広告もインディスプレイ広告も、1再生あたり3円程度から出稿できる。オウンドメディアへの誘導率を高めることができれば、費用対効果に優れた広告になる可能性がある。今後、広告主が増えるにつれて広告料が上昇することはほぼ確実なので、YouTube広告は今がチャンスと言えるかもしれない。