ソーシャルメディア広告の特殊なターゲティング方法

0
943

インターネット広告といえば、AdWords広告に代表される検索連動型広告のシェアが高いが、最近ではソーシャルメディア広告を出稿する企業も増えている。ソーシャルメディア広告の長所は、人のつながりや登録された詳細な個人情報を活用して、バラエティに富んだターゲティング手法を採用できる点だ。たとえば、Facebookは実名制SNSなので、ほぼ正確な年齢や居住地がわかる。就職活動を行う大学生など、見込み客の職業や年齢が明確に限定できる場合は、Facebook広告において大学生という職業と、就職活動を行う可能性が高い20歳や21歳という年齢を指定することで、より精度の高いターゲティングが可能になる。

 Twitter広告は基本的に代理店を通さないといけないので、やや敷居が高いと感じるかもしれない。だが、Twitter独自のユニークなメニューも少なくない。たとえば、特定のアカウントのフォロワーだけに広告ツイート(プロモツイート)を配信できる「ハンドルターゲティング」というターゲティング方法がある。広告ツイートは、ログインした時点でタイムラインの一番上に表示されるので、どのアカウントにフォローしている人を狙うのかを慎重に選択すれば、反応率の高い広告になる可能性もある。ただし、フォロワーが現在もアクティブにログインしている人ばかりとは限らないので、広告ツイートのリーチを高めたい場合は、比較的最近に開設されたアカウントを対象にするなどの工夫が必要だろう。

 「特定のアカウントをフォローしている人」だけに広告を配信するということは、Facebookでたとえるなら、特定のFacebookページに「いいね!」をしている人のタイムラインに広告を表示するようなものであるが、Facebookではそのような広告配信はできない。ハンドルターゲティングは、Twitterだからこそできるターゲティングと言える。

 広告主が持っているハウスリストに基づいた広告も配信できる。Facebookでは「カスタムオーディエンス」、Twitterでは「テイラードオーディエンス」と呼ばれているターゲティング方法で、たとえば顧客リストのメールアドレスや電話番号などをハッシュ化してアップロードすることにより、会員情報と一致した人にだけ、あるいは一致した人だけを除外して広告を配信することができる。もちろん、FacebookやTwitterに登録されている個人情報と一致しないことにはオーディエンスと認識されないので、一般的なハウスリストの場合、照合率は3割前後と言われている。

 これもFacebookとTwitterの両方で採用されている手法だが、広告主のWebサイトを訪問した人だけに広告を表示させることも可能だ。仕組みは簡単で、アクセス解析の際に使われるようなWebビーコンをサイトのHTMLソースに埋め込み、アクセスした人がFacebookやTwitterにログインした状態であった場合、誰がそのサイトを訪問したかをFacebookやTwitterが認識できるというもの。いわば、リターゲティング広告をFacebookやTwitterのタイムラインで表示できるサービスである。これらのカスタムオーディエンスをうまく組み合わせれば、これまでリーチできていなかった層に効率的にアプローチできるかもしれない。