影響力を増しつつあるアフィリエイト

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成果報酬型広告のアフィリエイトといえば、1996年にAmazon.comが開始した「アソシエイトプログラム」をまず連想する人も多いだろう。

アフィリエイトの歴史を辿ってみると、1994年にアメリカのECサイト「PC Flowers & Gifts」が導入したのが初めてといわれている。Amazon.comがアソシエイトプログラム導入後に売上を大きく伸ばしたことから、アフィリエイトはECサイトにとって有力な販促手段として定着した。

 Amazon.comのアソシエイトプログラムは、いわば自社専用のアフィリエイトネットワークである。日本でも、アウトドアグッズを販売するナチュラムが、1999年5月にアソシエイトプログラムを参考に独自開発した「バディシステム」を開始した例がある。しかし多くの場合、広告主とアフィリエイト広告を掲載するメディアを持った「アフィリエイター」を仲介するアフィリエイトサービスプロバイダ(ASP)を利用する。日本では、1999年11月にValueCommerceが、2000年6月にA8.netがサービスを開始し、今では有力なASPだけでも約70社がサービスを提供している

 矢野経済研究所が2012年12月に発表した調査結果によると、2012年度の国内アフィリエイト市場規模は前年度比12.6%増の1276億9000万円に達する見込み。同社は、2013年度以降も年率10%前後で成長を続け、2015年度には1659億円に拡大すると予測している。

 日本でも一定の市場を形成した感があるアフィリエイトだが、最近の状況はアフィリエイトが登場した頃と比べて大きく変化している。もともとはAmazon.comのアソシエイトプログラムのように、ECサイトで販売されている商品を紹介して、実際に売れた金額の5~20%を報酬として受け取る形が一般的だった。最近では、無料キャンペーンに登録すると1メールアドレスあたり300~1000円もらえる「オプトインアフィリエイト」や、10万円以上するような商材を成約すると平均50%、最大88%という高額の報酬を受け取れる「情報商材アフィリエイト」の比率が高まりつつある。

 若くして何億円も儲けたとされる「スーパーアフィエイター」がマスコミで紹介されることもあるが、彼らは莫大な数のリストを保有している。そういった人たちと組んで、短期間に商品を大量に販売するジョイントベンチャーも頻繁に行われるようになった。彼らの特徴は、Webマーケティングの最先端手法を駆使するスキルを持っていることである。たとえば、FacebookやTwitterはもちろん、LINEやPinterestなどのSNSを活用して短期間で一気に見込み客を集められる。

 リストとスキルを併せ持ったアフィリエイターの販売力は、インターネットで商品の販路を広げたい企業にとっても魅力的に違いない。最近では、アフィリエイトネットワークを構築できるサービスやソフトウェアもいくつか登場している。今後は、独自のアフィリエイトを運用する企業も増えるのではないかと予想される。