マーケティングの成果を十分に測定できているか

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CNET Japanは、2014年6月から7月にかけて、会員登録している企業のマーケティング担当者を対象に、マーケティング活動に関する現状や課題に関する調査を実施した。対象がマーケティング担当者ということもあり、9割以上が今後マーケティング強化の必要性を感じていると回答する一方、マーケティング活動の成果を「出している」と明確に回答できたのは1割に満たず、「やや出している」を含めても3割強にとどまっていることがわかった。成果が「やや足りない」と「足りない」の合計は約4割に達しており、多くの企業がマーケティング活動の成果を実感できていないことがわかる。
現在実施しているマーケティング施策を複数回答形式で聞いたところ、展示会出展(42.1%)、メールマガジン発行(38.9%)、自社セミナー開催(37.2%)、ウェブ広告(35.5%)、ソーシャルメディア活用(31.5%)、ウェブアクセス解析(31.5%)という順になった。調査対象になった企業の業種については公表されていないが、上位に展示会出展や自社セミナー開催がランクインしているところをみると、法人を対象にするB2B企業の割合が高かったものと推測される。

B2B企業については、他の調査でもWebマーケティングの効果を実感しにくいという結果が出ている。アイ・エム・ジェイが2014年3月末に実施した「BtoB企業のWebマーケティング実態調査」によると、B2B企業のWeb担当者の79.9%が「自社Webサイト活用」に取り組んでいるものの、その内49%が「効果が出ていない」と感じているという結果になった。

ただし、Webサイトの成果を十分に把握できていない可能性もある。たとえば、問い合わせや資料請求が電話など、インターネット以外の手段で行われた場合、それがWebサイトの成果であったとわからないケースも少なくない。展示会でも事前にWebサイトで出展者情報を吟味してから、訪問するブースを決める来場者は多い。展示会での商談も、実はWebサイトがあったからこそ発生したということも考えられる。

このような間接的な効果のことをアトリビューション(attribution)と表現するが、徐々にオンラインとオフラインにまたがるアトリビューションを分析できるようになりつつある。Googleが2005年より提供しているアクセス解析ツール「Googleアナリティクス」の次世代版「ユニバーサルアナリティクス」を活用すれば、ネットに接続されたデバイスはもちろん、電話での問い合わせや実店舗への訪問などのオフラインのデータを一つのIDで紐付けて顧客行動を追跡できる。つまり、Webサイトでの施策がオフラインでの行動に与える影響などが分析できるようになる。

前述のCNET Japanの調査では、マーケティング活動の成果が出ていない理由も聞いていて、上位には組織構造の問題、資金・人的リソースの問題、経営層の理解不足などの回答が並んでいる。たしかに、それらも大きな要因ではあるが、現在実施しているマーケティング施策の成果を十分に測定できているかどうかを再点検してみてはどうだろうか。