オーディエンスターゲティングへの期待と課題

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オーディエンスターゲティングによって配信される広告では、クリック1回あたりいくら払うというのではなく、特定の行動履歴や属性を持った人が訪問すれば、その訪問者に広告を表示する権利を1インプレッション(表示)単位で買うという契約が主流になる。広告主とすれば、どんな行動履歴を持った人のコンバージョン率が高いかという過去の効果測定がきちんとできていれば、これほど効率のいい広告はない。メディアを運営する側も、オーディエンス1人1人を、それぞれ一番高く買ってくれる広告主に販売できるので広告料収入を最大化できる。まさに両者にメリットのある広告配信手法だ。しかしながら、オーディエンスターゲティングを実現するには、訪問者の過去の行動履歴を一元管理できる仕組みと、その訪問者に広告を表示したいと望む広告主が瞬時に広告を購入できる仕組みが必要となる。

そのニーズを満たすために登場したのが、第三者配信と呼ばれる広告配信の集中管理システムである。複数のアドネットワークを一元的管理したり、広告主がオーディエンスデータによって広告を1配信ごとにリアルタイム入札できる機能が搭載されていて、メディア運営者、つまり広告の供給側(サプライサイド)を支援するという意味からサプライサイドプラットフォーム(Supply-Side Platform)と呼ばれている。

第三者配信の利用が普及しているアメリカでは、すでにオーディエンスデータに基づいて配信される広告のシェアが高くなりつつある。調査会社eMarketerによると、2011年にはオーディエンスデータによって購入する広告が、掲載枠を購入する広告を上回ると予測している。ただし、すべてが高度なターゲティングに基づく広告というわけではなく、今後オーディエンスターゲティング広告がどこまでシェアを広げるかが注目されている。いずれにしても、数年前からやっと本格的な第三者配信システムが登場しだした日本市場にも、間もなく大きな波がやってくるだろう。

オーディエンスターゲティングを含めた行動ターゲティング広告にとって、重大な影響を及ぼすかもしれないのが、ブラウザに搭載される「Do Not Track」機能だ。簡単に説明すると、クッキーによる行動履歴の追跡を拒否できる機能で、実はすでにFirefoxなどの最新バージョンには実装済である。ただ、そのような機能があることも、機能をオンにする方法も、ほとんどの利用者は知らない。ところが、Windows 8に標準搭載されるIE 10では、この「Do Not Track」機能がデフォルトでオンになっているという。IE 10をデフォルト状態で利用する人が増えれば、行動ターゲティングの精度向上に必要な行動履歴の収集が難しくなるかもしれない。