GoogleとAppleが地図情報サービスで激突

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今年6月にサンフランシスコで開催された開発者向けカンファレンスでAppleは新しいOS「iOS6」の概要を発表した。今年秋にリリースされる予定のiOS6では、標準搭載される地図ソフトが従来のGoogleマップから、Apple独自開発の「Maps」に切り替わることが明らかになった。Appleが3年間の年月を費やして一から開発したという。「フライオーバー」と呼ばれる3D表示機能が搭載されているのが最大の特徴だ。

以前からAppleが独自の地図情報サービスを開発中であることは噂されていた。ここ数年間のうちに、Appleは地図関連の技術を持つ会社をいくつか買収している。最近の報道では、MapsではオランダのGPSメーカーTomTomのデータを一部使用していることがわかっている。
 
Appleによると、iOS6になっても、AppStoreからGoogleマップのアプリを除外する予定はないらしいが、iPhoneやiPad利用者がGoogleマップからMapsに大きく流れることは必至だろう。現在、Googleマップへのトラフィックのほぼ半分はiOSのモバイル端末経由と言われているだけに、Googleマップが受ける打撃は大きい。

AppleがMaps開発にどれだけの投資を行ったかは公表されていないが、莫大な開発費が投じられたことは間違いない。Appleがそれだけ投資して独自の地図情報サービスを持ちたいと考える理由は、直接的には広告料という収入源を確保する目的と思われるが、今後地図情報サービスは企業向けサービスには欠かせない経営資源になると考えたからだろう。
 
Googleは地図情報関連のサービスとして、GoogleマップやGoogleアースなどを提供しているが、これらの法人向けサービスを世界の25000社以上に提供しており、すでに大きな収入源になっている。Googleは今年7月、都内で地図情報サービスについての説明会を開催した。説明会では、DHLや日立建機などの活用事例を紹介するとともに、今年6月に発表された従業員の位置をトラッキングできる新サービス「Google Maps Coordinate」について説明が行われた。
 
最近では、コーポレートサイトでも自社の地図を表示するのにGoogleマップが採用される例も増えた。Googleでは、エクセルなど表形式の場所データをGoogleマップに一括登録できるKMLファイルに変換するツール「Spreadsheet Mapper3」を提供している。このツールを使えば、最大1000ヶ所の場所データを一括登録できる。そのようなGoogle側の努力もあり、今ではGoogleマップ用のAPIを採用しているサイトは世界中で80万サイトに達しているという。