インターネット広告はテレビ広告に追い付けるか

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インターネット広告の業界団体Interactive Advertising Bureau(IAB)が公表した最新の調査結果によると、2013年のアメリカのインターネット広告市場規模は前年比17%増の428億ドル(約4兆3000億円)となり過去最高を更新した。特筆すべきは、2013年に401億ドルだったテレビ広告の市場規模を初めて上回ったことである。アメリカのインターネット広告市場規模は、2007年にはラジオ広告、2010年には新聞広告、2011年にはケーブルテレビ広告を抜いてきたが、ついにテレビ広告を抜いて最大の広告メディアになった。
 ただし、アメリカのテレビ広告業界は複雑で、全国ネットでない放送局での広告などを加えた広義のテレビ広告市場規模は660億ドルという統計もある。

 世界的に見ても、インターネット広告の市場規模はなお拡大中で、従来のマスメディアのシェアを奪い続けている。最もインターネット広告への移行が進んでいると言われているのはイギリスで、すでに2009年の時点でテレビ広告の市場規模を超えたとされる。

 日本では、2009年に新聞を抜いて、テレビに次ぐ第2の広告メディアになった。電通が毎年公表している「日本の広告費」によると、媒体費と広告制作費を合わせた2013年のインターネット広告市場規模は前年比8.1%増の9381億円に拡大したものの、テレビ広告の1兆7913億円に比べると依然として大きな差があり、日本でインターネット広告がテレビ広告に追い付くにはまだ時間がかかりそうだ。

 今後、インターネット広告市場をけん引すると期待されているのが動画広告である。従来からテレビ広告の一部がインターネットの動画広告へシフトする動きがあったものの、動画広告にはテレビの視聴率調査のように第三者機関が評価する仕組みが整備されていなかったため、多くの広告主は動画広告への出稿を躊躇してきた。しかし、テレビ視聴率調査会社Nielsenが、2013年11月からGoogleの配信する一部の動画広告について「Online Campaign Ratings」と呼ばれる評価システムの提供を開始したことで、動画広告においてもテレビ広告に近い評価基準が利用できるようになった。

 Facebookも動画広告に力を入れている。2014年3月にはニュースフィード上で表示されると無声で自動再生される動画広告「Premium Video Ads」の提供を開始した。無声再生中の画面をクリックすると音声が入り、全画面再生に切り替わる仕組みで、広告の長さは15秒の統一されている。ここでもNielsenの「Online Campaign Ratings」の効果測定によって広告料金が決められるなど、テレビ広告の基準が採用されている。今後は、ますますテレビ広告からインターネット動画広告へのシフトが進むことが予想される。