ネイティブソーシャル広告の可能性

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利用者の増加に伴い、日本でもFacebookは魅力的な広告媒体とみなされるようになった。Facebook広告の特徴は、広告主が様々なタイプの広告を自由に組み合わせることができる点である。ところが、広告の種類があまりにも増えすぎてしまったため、先日Facebookは今年6月から約半年かけて、現在27種類ある広告を半分以下に統合・集約すると発表した。QuestionsやOfferと呼ばれる広告が廃止される一方で、写真付きの広告を1つ作成すれば、自動的にソーシャルな文脈を判断して適切な位置に掲載されるようになるなど、広告主にとっては便利になるという。

 インターネット広告はクリックによって課金されるタイプのものが主流になってきているが、Facebookページのタイムライン投稿をファンやファンの友達のニュースフィードに表示する「Promoted Posts(プロモーテッド・ポスト)」は、インプレッションを基準とした広告として、Facebookページを運用する企業の利用も増えている。どのような手段でFacebookページのファンを増やしたかによって効果は大きく変わるが、うまく使えばクリック単価を劇的に下げることが可能だ。

 FacebookがPromoted Postsを開始したのは2012年だが、それより2年も前の2010年にTwitterは広告主の宣伝ツイートをタイムラインや検索結果ページの最上部に表示する「Promoted Tweets」を開始している。これらのインターネット広告は、本来の記事コンテンツと同じ場所に表示されることから「ネイティブ広告」と呼ばれている。

 ネイティブ広告とは、簡単に説明するとソーシャルメディアなどでコンテンツを閲覧する際に、その延長線上に企業のオリジナルコンテンツとして配信される広告のこと。アメリカのマーケティング情報サイトiMediaConnectionでは、ネイティブ広告を「ユーザーの消費体験にシームレスに統合するようにデザインされた広告ユニット」と表現している。

 アメリカでは、ソーシャルメディアとの相性がいいことからネイティブ広告をソーシャルメディア広告の一形態に分類されることもある。アメリカの市場調査会社BIA/Kelseyは、ソーシャルメディア広告のうち、ニュースフィードなどソーシャルメディアのコンテンツに統合された広告をネイティブソーシャル広告と定義したうえで、ネイティブソーシャル広告の市場規模は2016年には39億ドル(約3900億円)と2012年比2.6倍に拡大すると予想している。

 今年3月には、Facebookのニュースフィード画面のデザインが変更され、ニュースフィードに画像が大きく表示されるようになった。前述のPromoted Postsは、ビジュアル面でも訴求力の高い広告になったといえるだろう。ネイティブ広告が広く普及するためには、広告であることをどのような形でユーザーに明示すべきかなど、クリアすべき問題点も少なくないが、今後、ソーシャルメディアにおける新しいタイプの広告として存在感を増していくことだけは間違いなさそうだ。