スマートフォンサイトをどう作るべきかに悩む企業

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昨年以降、Webマーケティング関連のニュースでもスマートフォンの話題が目立つようになった。つい先日も、インターネット視聴率調査会社comScoreが発表した2012年3月のデータから、アメリカではスマートフォン経由でFacebookを利用する1人あたりの平均時間が、PCからアクセスしている人の平均時間を上回ったことが明らかになった。アメリカでいかにスマートフォンが普及しているかは、Nielsenが発表したアメリカのスマートフォン市場に関する調査結果を見れば一目瞭然である。2012年3月時点の携帯電話ユーザ全体に占めるスマートフォンユーザの割合は、男性50.1%、女性50.9%といずれも50%を超えている。注目すべき点は、わずかではあるが女性の方がスマートフォン普及率が高いことである。

アメリカでスマートフォン普及が加速している背景には、企業が業務において個人所有のモバイル端末の使用を認めていることがある。Gartnerの調査によると、アメリカでは個人のモバイル端末の業務使用を認めている企業がすでに半数近くに達しており、2014年までにこの数字は90%になると予想されている。私有のモバイル端末を業務で使うことはセキュリティやコンプライアンス上の問題は残るが、経費を節約しつつ普段使い慣れた端末で業務の効率化を図れることから、企業と従業員双方にメリットがあり、今後もその流れは継続しそうだ。

従業員が私有のモバイル端末を業務に使用することをBYOD(Bring Your Own Device)と表現するが、日本でも徐々にBYODを取り入れる企業が増えつつある。日本では、業務用のモバイル端末を従業員に支給する形がメインになるかもしれないが、いずれにしても、これまで業務のためにPCからアクセスしていたWebサイトに対しても、モバイル端末からアクセスする割合が増えていくことは確実と言えるだろう。そうなると、課題になってくるのが企業Webサイトのモバイル対応である。

モバイル端末への対応としては、ブラウザのUser-Agent情報に基づいてモバイル専用サイトに自動転送する方法が考えられる。実際にその方法を採用している企業も少なくない。だが、モバイル端末のスクリーンサイズや端末の種類がますます多様化することは確実で、将来的にモバイル専用サイトをさらに細分化する必要が出てくる可能性が高い。

従来のWebサイトにおいて、スクリーンサイズによって表示するデザインやレイアウトを自動的に変えて対応しようというのが「レスポンシブWebデザイン」である。具体的には、CSS3の「Media Queries」やjQueryプラグインの「Response.js」などを使って、同じページにアクセスしてもスクリーンサイズに応じてレイアウトや画像のサイズを自動調整できる手法である。たとえば、ブラウザの横幅が900ピクセル、700ピクセル、480ピクセルと狭くなるにつれ、画像やサイドバーの非表示、カラム数の変更、キャプション位置の変更などが自動的に最適化されるように設定できる。