Apple Watch普及の鍵を握るアプリ

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2015年4月24日、Apple最初のウエアラブルデバイスとなる「Apple Watch」が日本や中国を含む世界9ヶ国で発売された。Apple Watchには、本体素材によって3つのモデルがあり、日本での販売価格は、Apple Watch Sportが42800円から、Apple Watchは66800円から、本体に18金を使用した最上位モデルのEditionは128万円からとなっている。調査会社Slice Intelligenceによると、予約の受付が開始された4月10日の1日だけで100万台弱の予約注文が入ったという。2014年7月に出荷が開始されたGoogleの「Android Wear」の2014年総出荷台数が約72万台だったことを考えると、Apple Watchの人気の高さが際だっていることがわかる。

 情報筋によると、Apple Watchは2015年5月までに230万台が製造される予定であるが、調査会社IDCは、2015年のApple Watch総出荷台数は1500万台に達すると予測している。これはスマートウォッチ市場全体の62%に相当する数字であるという。Apple Watchは、今後ウエアラブルデバイスの主流となると期待されていることは間違いないが、普及のための課題もいくつか存在する。現時点で指摘されている点としては、端末の価格が他のスマートウォッチと比較して高いことや、バッテリーの持続時間が短いことなどがあげられる。前述のSlice Intelligenceの調査によると、初日の予約注文の約85%を最も廉価なApple Watch Sportが占めている。

 Apple Watchの役割を一言で表現するとしたら、iPhoneの子機として動作するアクセサリである。音楽を再生するなどいくつかの機能はApple Watch単体でも利用できるものの、基本的にはiPhoneに接続した状態で使用する。Appleが力を入れて開発しただけあって、デザインや機能には様々な工夫が盛り込まれている。メッセージを音声入力したり、スピーカーを使って通話ができたりコミュニケーション機能は充実している。専用センサーにかざすだけで決済ができる「Apple Pay」にも対応している点は、他のスマートウォッチとの差別化要因にもなっている。

 Apple Watchの発売に合わせて、Apple Watchに対応したアプリが続々とリリースされている。日本でも、LINEやクックパッド、グノシーなどの人気アプリが一早くApple Watch対応版をリリースした。たとえば、LINEでは、iPhoneが鞄の中にある状態でもApple Watchからメッセージの閲覧やスタンプか絵文字による返信ができる。アプリに特化した調査会社App Annieによると、発売直前の4月22日時点でApple Watch対応のアプリ数は3000点を突破した。腕に巻くという利点を活かして、仕事効率化やヘルスケア・フィットネス、ライフスタイルなどのカテゴリのアプリが多い。

 Apple Watch向けのアプリ開発は、魅力的なビジネスになる可能性を秘めている。ただ、現時点ではサードパーティ製のアプリをApple Watch単体では起動させることができないなど、開発には制限も少なくない。Apple Watchを一早く購入した人からのレビューをみると、サードパーティ製アプリの動作に問題があるという指摘もある。Apple Watchがウエアラブルデバイスの主流になるためには、アプリの動作安定と種類の充実が鍵を握っている。