B2Bサイトにスマートフォン対応は必要か

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スマートフォンの普及により、Webサイトへのアクセスにおけるスマートフォン比率も上昇している。つい先日、GoogleでYouTubeの運営を担当する上級副社長は、YouTubeの視聴のほぼ50%はモバイル端末からであること明らかにした。日本のECサイト「ZOZOTOWN」は、四半期ごとに注文におけるスマートフォン比率を公表しているが、2014年3月期第3四半期に初めてスマートフォン比率が50%を突破してPCを逆転した。日本では、フィーチャーフォンが独自に進化したこともあり、スマートフォンの普及率は他の先進国に比べるとまだ低い水準にある。Webサイトへのアクセス比率は、さらにスマートフォンがシェアを拡大することは間違いないだろう。

宣伝会議が国内400社のマーケティング担当者を対象に実施したアンケート結果によると、2014年に注目しているマーケティング施策として、「スマートフォン向けサイトの最適化」が、「オウンドメディアマーケティング」と「コンテンツマーケティング」についで第3位となった。トランスコスモスが2013年7月に、同社の取引先2000社を対象に実施した調査では、Webサイトをスマートフォンに対応させていた企業は、全体の28.7%にあたる574社だった。2012年11月に実施した前回調査では、スマートフォン対応率は18.0%だったので、1年あまりで企業のWebサイトのスマートフォン対応がかなり進んできていることがわかる。

実際に、企業のWebサイトへのアクセスにおけるスマートフォン比率はどのくらいなのだろうか?これについては、「日経デジタルマーケティング」がD2Cと共同で定期的に実施している企業のインターネット広告・モバイル広告利用動向調査に参考になるデータが記載されている。この調査は、日本国内の上場企業および有力未上場企業の計4229社を対象にアンケートを送付して行われたものだが、2014年の調査では516社から回答を得ている。関連する項目の結果を簡単に紹介すると、B2C企業のWebサイトへのアクセスにおけるスマートフォン比率は、ページビューの28.5%、ユニークユーザーの28.4%に達している。Webサイトのスマートフォン対応は44.5%の企業が実施済である。なお、B2B企業を含めた全体ではスマートフォン対応率は27.3%となり、前述のトランスコスモスの調査結果(対応率28.7%)と近い数字になっている。

では、B2B企業の場合はどうか?前述の日経デジタルマーケティングの調査では、B2B企業のWebサイトへのアクセスにおけるスマートフォン比率は、ページビューの8.8%、ユニークユーザーの9.4%だった。「B2C以外の企業」のスマートフォン対応率を概算すると、およそ16.5%という計算になる。B2C企業が44.5%なのに対して、主にB2B企業が16.5%と、B2B企業の対応の遅れが目立つようにも思える。今回の調査は比較的規模の大きな企業が調査対象になっていることから、おそらく中堅・中小企業においては、B2B企業のWebサイトのスマートフォン対応はさらに遅れているのではないかと推測される。B2B企業のWebサイトであっても、ユニークユーザーの約1割がスマートフォンでアクセスしていることは調査結果からも明らかである。

今後、私的モバイル端末の業務使用が進むと予想されることもあり、B2B企業サイトもスマートフォン対応が必要な時代になりつつあるといえるのではないだろうか。