Google Analyticsの新機能

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Webサイトのアクセス分析を行うには、以前は有料のツールやサービスを利用するのが主流だった。しかし、2005年にGoogleが無料のアクセス分析ツール「Google Analytics」をリリースしてから状況は一変した。有料で提供されていたサービスをGoogleが買収して無料で提供を始めたものだから、当然のごとく一気に普及した。WebページのHTMLソースを見れば、Google Analyticsを導入しているかどうか簡単にわかる。あるサイトでは、日本の上場企業約3600社のコーポレートサイトにおけるGoogle Analyticsの導入状況を定点観測しているが、現在の導入率は50%を超えている。

 Google Analyticsの凄いところは、無料サービスでありながら、リリース以来、利用者のニーズに応える形で様々な機能が追加され続けていることだ。2012年の1年だけをみても、A/Bテスト機能、訪問者のサイト内動線を視覚化する機能や、ソーシャルメディアでの反響をリアルタイムで測定できる機能などが追加されている。そして、2013年3月からパブリックベータ版として利用できるようになった最新機能がUniversal Analytics(ユニバーサルアナリティクス)だ。

 Universal Analyticsの最大の特徴は、インターネットに接続されたPCや携帯電話、ゲーム機などのデバイスはもちろん、電話での問い合わせや実店舗への訪問などのオフラインのデータを一つのIDで紐付けて顧客行動を分析できることである。この新しい計測方法により、Webサイトでの行動についても、これまでは捕捉できなかった行動がわかるようになった。Google Analyticsは、Webサイトへアクセスしてから離脱するまでの一連の動きをセッションとして管理する方式だった。セッション方式の場合、いったんサイトを離れて一定以上の時間を経過すると、再訪問しても別のセッションとして扱われてしまう。Universal Analyticsの新方式では、ユーザーごとにIDが割り振られて行動が縦断的に集計できるので、たとえば午前中にWebサイトを訪問した人が、午後にも再度訪問したなどと、同一人物の行動として把握できるようになる。

 Universal Analyticsの普及によって、今後、アトリビューション分析が盛んに行われるようになるだろう。アトリビューション(attribution)とは、直訳すると「~に帰すること」という意味だが、Webマーケティングにおいては、コンバージョン(成約)に至った貢献度、寄与度という意味で使われる。現在では、主にインターネット広告などのオンライン施策が、Webサイトでのコンバージョンにどれだけ貢献したかを評価する際などに使われているが、Webサイトで情報を収集した人が必ずしもオンラインで購入するとは限らない。オンライン施策がWebサイトだけではなく、実店舗への送客やコールセンターへの注文などにどれだけ結びついたかなどを分析する方法としても活用されるものと予想される。