動画コンテンツの集客効果に企業も注目

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近年、インターネットの利用目的として動画の視聴をあげる人が増えている。様々な動画を視聴できるサイトとしては、YouTubeやニコニコ動画などの動画共有サイトを真っ先に連想する人も多いかもしれない。ビデオリサーチインタラクティブの統計によると、PC向け動画配信サイトにアクセスする人は月間約3000万人に及んでいる。閲覧できる動画が豊富になるにつれて、平均滞在時間も大きく伸びている。前述の統計によると、2011年9月における動画配信サイトの月間平均滞在時間は約2時間で、前年同期比13%増となっている。

今年6月27日に、違法ダウンロード刑罰化を柱とした改正著作権法が公布された。公布直後は「動画共有サイトで動画を視聴しただけでも刑罰の対象になるのではないか」という議論がネット上でさかんに行われたが、その後文化庁が公開した「違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A」では、YouTubeなどの動画共有サイトで動画を視聴する場合は、違法ではなく刑罰の対象にはならない、という見解が明記されている。もっとも、動画共有サイトの視聴が議論にあがるということは、それだけ著作権違反のコンテンツが多く存在するということである。

YouTubeでは、テレビ番組をそのままアップしたものなど、著作権に違反しているコンテンツは、著作権者からの申し出があれば速やかに削除される体制が確立されつつある。しかし、同じ人がアップした違法なコンテンツでも、一部は削除されることなく残っていることも珍しくない。個人的な想像の域を出ないが、著作権者としては全部を削除依頼するより、一部は残しておいた方が、番組の宣伝になってDVDなどの販売にプラスになると判断した苦渋の選択ではないだろうか。それだけ、YouTubeの宣伝効果は無視できないということなのだろう。

YouTubeについては、アメリカでは動画共有サイトというより、ソーシャルメディアに分類される。もともとは、自作の動画を公開できる機能のついたブログのようなコンセプトだ。インプレスR&Dが発売した「インターネット白書2012」によると、「広義のソーシャルメディア」のうち利用しているサービスを複数回答形式で聞いたところ、YouTubeが56.4%で、Twitter(26.3%)、mixi(26.1%)、Facebook(24.5%)などを大きく引き離して第1位になった。ただし、YouTubeをソーシャルメディア的な使い方をしている人は、日本ではそれほど多くないと思われる。

企業にとっても、これだけ利用者が多い動画配信サイトは、大きな集客効果が期待できる魅力的なメディアである。動画配信プラットフォームとして進化を続けているため、ライブ中継をはじめ、従来のWebでは実現できなかった様々な表現方法が可能になりつつある。日本で利用者の多いYouTube、ニコニコ動画(ニコニコ生放送)、Ustreamはいずれもライブ中継の機能も合わせ持っているが、ライブ中継が手軽に開催できるUstreamではセミナーやイベントの中継、テレビのように放送枠が決められているニコニコ生放送では番組配信、インタラクティブな機能を組み込めるYouTubeではプロモーション動画など、マーケティングの目的や種類によって動画配信プラットフォームの使い分けが進んでいる。