2014年の注目キーワードは「C2C」か

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2013年12月20日、LINEがついにスマートフォン向けECサービス「LINE MALL」のプレオープン版をリリースした。

LINE MALLについては、2013年8月に構想が公表された時点では「9月末か10月上旬の開始を目指す」とされていたので、かなり予定より遅れたことになる。なお、プレオープン版はAndroid向けアプリのみで、iOS向けアプリは2014年に入ってからリリースされる。

 満を持してプレオープンしたかように見えるLINE MALLだが、当初の構想ではLINEに公式アカウントや「LINE@」と呼ばれる店舗向けアカウントを開設している企業や小売店が出店して商品を販売するB2C(Business to Consumer)がメインで、個人同士がフリーマーケットのように売買できるC2C(Consumer to Consumer)はサブのような印象だった。しかしプレオープンは、商品を出品・購入できるのは個人のみ、つまりC2Cだけでのスタートとなった。LINEの説明によると、2014年春のグランドオープンに合わせて、企業も商品を販売できるようになるという。

 LINE MALLを利用する手順は非常にシンプルだ。LINEにアカウントを持っていれば、事前に審査を受けることなく誰でも出品できる。スマートフォンで商品を撮影して、販売価格を設定して出品ボタンを押すだけなので、公式サイトにも「たった2分で出品できます」と記載されている。個人間の売買ではトラブルの発生が懸念されるが、LINE MALLではすべての代金決済がLINEを介して行われる。ネットオークションなどでは、お互いが安心して取引できるよう、主催者がいったん代金を預かり、購入者が商品を受け取ってから代金が主催者から出品者に支払われる「エスクロー」と呼ばれる制度があるが、LINE MALLの代金決済方法はエスクローに近いといえる。取引が完了すると、代金の10%が仲介手数料として差し引かれて出品者に支払われる仕組みだ。

 2012年8月にサイバーエージェントが開始したスマートフォン向けオークションサービス「パシャオク」の月間利用者数が100万人に達しているように、スマートフォンを活用したC2Cプラットフォームに熱い注目が集まっている。LINE MALLがC2Cだけでプレオープンした真意はわからないが、LINEが今後もC2Cコマースに力を入れてくるであろうことは容易に想像がつく。ちなみに、LINE MALLとパシャオクは、フリーマーケットとネットオークションという違いはあるものの、個人利用者の販売条件(出品料無料、手数料10%、販売価格に送料が含まれる、商品は出品者が発送、代金は主催者を介して決済など)はほぼ共通している。

 これまで、C2Cプラットフォームとして大きな影響力を持っていたのはヤフーが運営する「ヤフオク!」だが、そのヤフオク!も個人の出品システム料の無料化、個人にストア出店開放(出店料無料)など個人間の取引を活性化する施策を「eコマース革命宣言」に盛り込んできている。今後、ソーシャルコマースの普及により、個人が簡単に「売り手」になれる仕組みが次々登場するだろう。消費税がかからない個人間取引は、消費税引き上げが予定されている2014年には、ますます注目される可能性が高いと思われる。